m&m Back Number 2001年 3月4月 |
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喫茶店に一人で入って、周囲の視線をものともせずにチョコレートパフェを食べていられるかどうか。甘党でなければ、バーで水割りでもいい。深夜、流しのタクシーを止めて一人で乗れるかどうか。3時間、テレビもつけず電話もかけず、部屋で一人でぼんやりしていられるかどうか。孤独を裏側から見ると、そんなものです。まず一人じゃいられないと思うなら、実はその人こそ本当に孤独な人です。 2001.3.5 その音楽を聴くと、いても立ってもいられなくなる音楽を作りたい。癒し系なんて人に任せておきます。精神的嘔吐をそそるとでもいうか。じっとしていられなくなる音楽とはいったいどんな音楽なのか、僕は知ってます。 2001.3.9 東京、信濃町にあるソニーミュージックの録音スタジオが売却によるために閉鎖になる。聞いてはいたが、そこは僕にとってもほとんどの仕事場だった場所で、昨日行ってみて感慨深いものがあった。乃木坂に転居して本社ビルと一緒になるらしい。昨日行ったわけは、尾崎豊さんの4月のマキシシングルのマスタリングである。いったいここで何曲の音楽を作ったか。最後になった曲のタイトルは、「Forget-me not」でした。 2001.3.14 舌切り雀とはどんな話だったかという話になり、正確に思い出せず、ついでといってはなんだが、日本昔話を列挙してみたが、どれもこれも話の筋さえ定かではない。大きなつづらと小さなつづらがあって、いい爺さんは小さなつづらを選んだんだよね、それを聞いた悪い爺さんが大きな方をもらってきたら、中から化け物だでてきたんだってけ、いやあ、それはこぶとり爺さんだろうか、いや花さか爺さんだぞ。わからなくなりました。それにこういうものはなにがしかの教訓を含んでいるはずで、舌切り雀は何で舌を切られたのかも不明だし、どうして爺さんはお礼をもらったかのかも忘れました。この際日本昔話をひもとくことにしました。 2001.3.19 季節の変わり目は体調を崩しやすいといわれますが、もう大丈夫そうです。本当に暖かくなりました。気のせいか花粉も落ち着いてきたような。小、中学生も今週は春休みですか。街に子供が多いようです。短い休みでしかも宿題がない、いい休みですから、思い切り遊んだらいい。今週末には、花見に行きます。結局近場にします。サクラ並木ほど美しい花の集団はありませんから。 2001.3.26 「誰のせいだ」と怒鳴る男がいる。責任の所在を問う。誰かのせいにしないと気が済まない。日常的訴訟ごっこである。「ここは俺んちの土地だぞ、このゴミは誰が捨てたんだ」と叫ぶ。風に吹かれて飛んできたんです。風の責任ですか。ゴミの責任ですか。あんたの土地に紛れ込まなきゃ、それでいいんじゃないの。仕方のないこと、しようがないこと、そんなふうに考えられないんですか。「天気予報は晴れだったのに雨じゃないか」と怒る男がいる。誰のせいでもない。空を覆った雲のせいにでもしますか。 2001.3.30 |
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4月に胸を沸き立たせ、新しい服を着る。着慣れた古い服を忘れ、早く新しい服がなじむことを祈ります。 2001.4.2 最近取材や原稿依頼がいつになく多い。まじめに取り組んではいるんだが、考えがまとまらないこともある。取材されている場合は、こちらがいろいろ質問することにしている。そうしているうちに、話したいことが浮き彫りになる。書いている場合は、気分転換に外に出る。外気を吸って、ブラブラする。そして一から書き直す。伝えたいことがないわけではないから、なるべくわかりやすく伝えたいといつも思う。 2001.4.6 携帯電話がイヤになったという話を最近聞く。予想していたことだ。この携帯依存症は世間に蔓延し、人の精神を蝕むと思ってた。サケと同じだ。いっぱいやって気分転換だと思ってたら、サケなしでは始まらなくなる。それと同じだ。携帯電話に依存している自分がブルーな気分になる人よ、解約しなさい。 2001.4.16 人が共同で何かをやろうとするエネルギーは計り知れないときがある。いわゆるベクトルがあったときの加速的エネルギーである。石をも貫く力になる。それが前向きであればあるほど、貫いたときの喜びは大きい。 2001.4.24 尾崎さんに関して思い出話を書きます。ツアーにしばらくついて歩いているときに、僕がいったん仕事で東京に戻り、本番に間に合うように駆けつけるということが何度かありました。会場ではなく宿泊しているホテルに入って一緒に会場入りするという状況になってホテルに行くと、今ジムで汗を流しているという。僕が驚かそうと思ってこっそりジムに行き、バスタオルを腰に巻いてサウナに潜入していると、彼が入って来て、タオルで顔を隠した僕に気づかずに、すみませんとかいいながら横に座る。しばらくして、「盗んだバイクで走り去る」と歌い出す僕に、彼はいぶかしげに睨む。タオルを取って「やあ」と驚かせたら、彼は腰を抜かしそうになだれ落ちました。狭いサウナで汗まみれで死ぬほど笑いました。合掌。 2001.4.25 |
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